【メモ】記事のスキャン。
(『Jinsha Magazine』2004年4月)
2003年8月、サンフランシスコのシャガール展に行きました。会場のMOMA(モーマ)@@では、親切な工夫がなされていました。主な絵画の下には小さな番号札が貼ってありました。これはオーディオ・ツア(音声案内ツア)のためのものです。絵画番号にあわせてボタンをクリックすると、手持ちのヘッドセットに説明が流れ出します。シャガールの伝記映画も上映しており、「屋根の上のバイオリン弾き」は、彼の絵から生まれたものです、なんてことも説明していました。
わたしはシャガール展はこれで3回目です。最初は1959年で京都まで出かけました。次は、ニューヨークのグッゲンハイム美術館です。
鳥獣戯画よろしく牛などが頻繁に登場するのは、おじさんが屠殺業者だったことと関係あるのでしょうか。屠殺されることをうすうす感じているような哀しそうな牛は、マルク・シャガール(Marc
Chagall)の属するロシア系ユダヤ人の運命を象徴しているようでした。
『Jinsha Magazine』(2001年4月)
2000年7月「Refugee(逃亡者)」をニューデリーからクルマで5時間のところにあるピンクシティとよばれるジャイプールで見ました。映画館はインド最大の大きさでまるで宮殿のようでした。
インド映画は、古典演劇の用法を取り入れて、セリフはいつの間にか歌と踊りに変化します。「Refugee(逃亡者)」も十数曲の歌と踊りを取り込んだ砂漠での戦闘を売り物にしたミュージカル・アクション映画です。
インドでは俳優は実社会で大きな力をもっています。人々は困ったことがあると、俳優のところへよろず相談に行きます。インド映画のメッカの一つタミルナドゥ州では、1967年以来歴代の首相6人はすべて映画関係者です。2000年8月インドの大物俳優が誘拐されました。インドでは大ごとですが、事情のわからない外電はほとんどこの事件を報じませんでした。
(2004年9月8日)
大学情報化全国大会
自発学習促進のためのオンライン教育 桑原政則
(2003年4月、2005年4月)

ジャパンナレッジは私にとって“空中図書館”です。今の時代、求められているのは、知識を溜め込むことではなく、必要な知識をすばやく検索する
ワザです。
「検索速度」とは、的確な知識、情報を得るまでの時間のことです。 ジャパンナレッジは快適なタイム・セーバー(時間節約館)です。 ◇
2005年6月 記
『日本大百科全書』(小学館)、『ランダムハウス英和大辞典』、『デジタル大辞泉』、『現代用語の基礎知識』、『東洋文庫』など
(『Jinsha Magazine』2005年4月)
黒山三滝は、東上線の霞ヶ関駅から一時間そこそこのところにあります。山深く緑濃く修験道(しゅげんどう)の道場ともなっていて、日本観光百選に入ったこともあります。森林浴に最適です。木々の濃い緑で心がやわらぎ、滝からのマイナスイオンで心身がリラックスし、一週間はイヤシモードに入ります。
山というものは、若いときはけわしく草木がぎっしりと生えています。しかし、風化と侵食により、なだらかな老年期に入り、やがて準平原に向かいます。日本の山は若く、年をとりません。山をカミサマとあがめ、手つかずにして、風化侵食を防いできたからです。Forests
grow fish.(森がサカナを育てる)といいます。山は巨大な貯水タンクです。山からの豊富な栄養素で魚は育ちます。日本人が水に不自由しないのは、貯水力のある山を残してきたからです。
川越に住居、学校がある利点は、このような霊山に半日登山ができることにもあります。
(2005年5月31日、「論壇」『琉球新報』 )

2004年6月、ホームページに関するJIS規格(JISX 8341−3、俗にウェブジス)が制定されました。骨子は「誰もが使えるホームページをつくりましょう」ということです。注目すべきは「誰も」とは視聴覚障害者、肢体不自由者、高齢者などを含むことです。
視聴覚障害者の半分150万人がインターネットを日常的に使用しています。この人たちにとってインターネットは社会との貴重な接点となっています。しかし使いづらい点がいろいろあります。
全盲の人は、音声読みあげソフトを使ってネット上の新聞などからすばやく情報を得ています。しかし読み飛ばし機能がないと、ページごとに上部のメニューや案内などの不必要な項目を読みあげられてしまいます。また写真に代替テキストが設定されていないと、写真の内容を知ることができません。
画面上の文字を拡大して情報を読み取る弱視の人にとっては、文字の大きさが固定されたページは拡大できないので利用できません。
日本人の1割以上は、色覚障害者です。ある色とある色の組み合わせが不適切であると、文字や図形を判別できません。
聴覚障害者は、音声と画像で解説がなされるページの情報を読み取ることができません。細かい手の動きができない肢体不自由者の場合は、マウスを乗せた時だけメニューが表示されるページは利用できません。キーボードだけで操作しているからです。
高齢者はボタンが小さすぎたり、「もどる」とかのボタン名が英語であったりするページは敬遠したくなるものです。日本では2015年には4人に1人が高齢者となり、世界初の高齢者大国になります。
障害者への支援ツール(道具)がいろいろ開発されてきています。両腕がなくとも唇だけで、また眼の動きだけで、操作できるツールも出回っています。しかしページのつくりに不備が多いので、うまく活用できません。
5月16日に観光情報学会が恩納村で開かれました。わたしはこの機会に沖縄の全市町村のホームページを調べてみました。結論から言いますと、おおむねどの市町村のページもはじめから作り直した方がよろしいです。これは全国の市町村のページにもいえることです。わたしはアメリカを訪れました。差別にきびしいアメリカでは、公共機関の欠陥ページは告訴の対象になってきています。
インターネットの重要性が高い島嶼(とうしょ)県の沖縄の市町村には、観光の振興のためにも、ユニバーサルデザインにのっとった易しいページづくりをしていただきたいものです。「易しいページ」とは、障害者、高齢者、インターネット初心者などに配慮した誰でもがつかえる愛情のこもった「優しいページ」でもあります。そんなページをもつ優しい自治体、観光地を高齢者、障害者は、さらに健常者も観光してみたくなるものです。
(「ホームページを使いやすくする会」主宰、東京国際大学教授)
ウェブアクセシビリティのページ
(2005年7月24日 調布文化会館 )
桑原政則です。5分程度であいさつをとのことですので、原稿を読みあげます。
まず地震のことから申し上げます。私たちはいま調布文化会館10階にいます。きのうの地震は震度5アメリカ、横ゆれもかなりのものだったそうです。地震の時にはエレベータはだめですが、階段も降りない方がよさそうです。この建物は倒れないようになっていますし、倒れるようなら下におりたほうが危ないですから。このままここにいるほうが安全なようです。
本題に入ります。去年ホームページに関する規格ができました。道路には道路交通法があり、交通弱者を守っています。今度できた「誰でも使いやすいホームページ」の規格は、眼などの不自由な人もホームページを使えるようにしようというものです。
去年できたばかりですが、自治体、大企業がゾクゾクと取り入れようとしています。最近では三井住友、TBS、日立などがとりいれました。日本はヨコ並び社会ですので、2,3の企業が実施すれば、他の会社も一斉に使いやすいホームページをつくりだすでしょう。この情勢で行くと、使いやすいホームページの数は日本がいずれ一番になるでしょう。
日本が情報弱者先進国には、ただひとつ条件があります。法律や規格は使う人が声を大にして、不便を訴えないと生きてこないということです。企業はブランドイメージ、社会的責任を気にします。わたしたちが「ハーモニー」などを通じて、「この会社のホームページはここが不便です。ここを改善してください」などと声を上げるたびにホームページはよくなり、大事なことですが、企業も利益を出せるようになります。ここには中国からの方々もいらっしゃってますが、外国ホームページも追随して使いやすくなります。
この調布には武者小路実篤記念館があるそうです。「君は君、我は我なり。されど友なり」というのが実篤の有名なことばです。このようなイベントを機会に、通信環境、ホームページが使いやすくなって、友達の輪がどんどん広がって大きくなっていくことをねがっています。
今日は全盲の風流亭楽勝さん、夢乃屋快楽さんの落語も楽しみにしています。おあとがよろしいようです。あいさつをおわります。
(2005年8月11日、インタビュアー富岡ノブヒロ)
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よい情報はみんなで共有しよう!
【 ウェブアクセシビリティ実例見聞録 】
第7号(2005年8月11日)
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日中、街を歩くとプール帰りの子供たちと
すれ違うことが多くなりました。
濡れた髪のまま満面の笑顔で走り去る姿に、
思わずこちらの表情も緩んでしまいます。
子供は遊んでいるときが一番輝いていますね。
こんなことを書いているうちに スイカが食べたくなってきました。
さっさと本題に入ることにしましょう。
お早うございます。
発行人の冨岡信弘(とみおかノブヒロ)です。
いつもご購読ありがとうございます。 今日も最後までお付き合いください。
バックナンバーページ http://backno.mag2.com/reader/Back?id=0000157597
今回お話をうかがったのは 東京国際大学教授の桑原政則先生です。
■桑原政則オンライン http://www.aoikuma.com/
■サイトの内容
桑原先生が関心を持ったことを
先生独自の視点でジャンルを超えて収集し、
アクセスできるように構成した
いわば桑原先生流ポータルサイト。
先生は、 1963年にタイ国調査団を組織してタイを訪れて以降、
タイを中心とした東南アジアの研究に専念。
タイでの客員教授などを経て
1975年、東京国際大学に迎えられました。
東南アジアと日本の架け橋という
重要な役割を担うと同時に
先生の旺盛は学究心は
森羅万象に向けられています。
ウェブアクセシビリティもその一つ。
東南アジアとウェブアクセシビリティの間には、
思わず膝を打つような理由がありました。
猛暑の都内で先生にお目にかかって
まさに熱いお話を伺いました。
インタビュー記事ここから。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
桑原政則オンラインはどんな理由で始まったのですか?
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以前は、東南アジアの講義で写真を見せるためにスライドを使っていたの
ですが、もっと簡単な方法はないかと探した結果、ウェブサイトの利用に
行き着きました。
ウィンドウズ95が出る少し前でしたから約10年前。手探りでのスター トでした。
自由にどんどん情報を追加、更新できるのがウェブサイトの素晴らしいと
ころです。ドメインの「aoikuma(あおいくま)」は、いつも自分自身と
学生に言っている五つの言葉
・あせるな
・おこるな
・いばるな
・くさるな
・まけるな
の頭文字をつなげたものです。
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拝見すると膨大なページ数に驚きます。 全体で何ページあるのですか?
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学生諸君からは実にさまざまな質問が寄せられます。それらに答えるため参考
になるサイトへのリンクを加えてきた結果、芋づる式にページが増えて今
のようなカタチになりました。今では2000ページくらいあると思いま
す。
結果的には、沖縄、日本の地域情報、東南アジア、コンピュータ、検索術、
ホームページ作成、総合情報が守備範囲となっています。
更新は、この10年間毎朝4時に起きて日課として続けています。生活の 一部になっています。毎日更新する方がかえって楽ですよ。畑の手入れみ たいなものです。コンピュータの作業としては、ゲームなどよりはるかに 面白いです。
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CSSを含め、サイトの制作・運営を すべて一人でなさっているのですか?
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ええ。独力で勉強しながらつくってきました。学生諸君の意見や他のサイ
トを参考にして徐々に修正を加えています。ただ、実験ではなくあくまで
実用として取り組んでいるので、どちらかといえば保守的で安全な方法を
とっています。
既成のページは改良すべきですが膨大な時間がかかるので、3歩進んで2歩下
がるという感じですが、それくらいの気持ちで一呼吸おきながらやった方
が長続きします。
CSSを使うようになってからは、アクセスがそれまでの2倍に増えまし た。その理由ははっきり検証できていませんが、軽くなったことが影響し ているかも知れませんね。
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ご専門のタイを中心とした東南アジアと
ウェブアクセシビリティとはどんな接点があるのですか?
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東南アジアの将来を考えると、ウェブアクセシビリティには大きな意味を
見出せます。
例えばタイでは、インドの輪廻転生(りんねてんしょう)思想の影響で、
人間は罪あるために何度も生まれ変わっては苦しむものだと考えられてお
り、障害者への配慮が足りません。
主な交通手段であるバスはまったく障害者に配慮されていません。つまり
障害者は社会から阻害された存在であり、家にこもっているしかないので
す。
しかしウェブサイトが使えるようになれば、ニュースやショッピングがオ
ンラインでできるようになり、情報に関するバリアを減らすことができま
す。それにはウェブアクセシビリティの確保が欠かせません。
私は東南アジアの障害者の皆さんが潜在能力を引き出し、経済的に自立で
きるようなお手伝いをしたいと思っています。それが東南アジアの自立に もつながるはずです。
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タイ国内のインターネット環境はどうなっていますか?
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まだ一般に普及しているとは到底言えません。10年前の日本程度です。
だから、ウェブアクセシビリティについても知られていません。
それに、タイのウェブサイトは画像中心で重たいのが多いです。豪華に飾って
ある方がよいという感覚が強いんですね。
まず政府や官庁のサイトをアクセシブルにしていただくのが当面の目標で
す。そうしないと企業は変わらない。それから、アクセシビリティに配慮
することが利益につながる、やらないと儲からない社会構造に早くしない
といけません。
それには日本の貢献が必要で、こういう部分でこそ日本はお手本になら
なくては。まず日本のサイトをアクセシブルにし、みんなで東南アジアの
自治体や企業にもっと声を上げましょう、と言いたいです。
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沖縄についても造詣が深いと伺っています。
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沖縄は地理的に近いので、東南アジアからの文化的な影響が見られます。
その意味で私の研究対象に入っています。
沖縄の経済は3つのKで成り立っています。3つのKとは、「基地」
「公共投資」「観光」。しかし、基地と公共投資は減少する傾向にありま
す。いずれ残るのは観光のみです。
観光にはPR、すなわち情報発信が必要です。そこで、沖縄県内の全市町
村のウェブサイトを調査したところ、ほぼすべてのサイトがアクセシビリ
ティに関しては不十分という結果でした。
観光を基盤にするなら誰でも使いやすいサイトをつくるべきで、県や市町 村が先頭に立って取り組んでほしいですね。
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「ホームページを使いやすくする会」を主催されていますね。
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IT関係に就職した卒業生たちと話しているうちに、WEBJISのこと
が話題に上ったのがきっかけです。中にはヤフーや楽天に勤めている者も
います。
まだ組織立った活動はしていませんが、ITに関する交流会として時々集 まっており、意義のある活動につなげていければと考えています。
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インタビュー記事終わり。
桑原先生、ありがとうございました。
東南アジアの発展に ウェブアクセシビリティが必要だというご意見には、
さまざまな含みがありますね。
この考え方は、 東南アジアに限らず世界中に当てはまると思います。
ウェブを含むあらゆる面の
アクセシビリティやユーザビリティ向上が
障害を持つ人々が能力を発揮する機会をつくり、
社会の発展と豊かさの向上につながるはずです。
それは障害者だけのためというのではなく、 すべての人のために。
■桑原政則オンライン http://www.aoikuma.com/
「桑原先生に質問したい!」という方いませんか? 読者の方のアドバイスから生まれた新企画! (反応がなければすぐに取り止める可能性あり)
◆◆公開質問箱◆◆
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今日お話を伺った桑原政則先生へ質問はありませんか。
私が間に入ってあなたの質問をお届けします。
もっと詳しく聞きたい、別のことについて意見がほしい、
など奮って「公開質問箱」までお送りください。
ただし、条件が一つ。
あなたの質問内容と桑原先生からの回答を
メルマガ上で公開させていただきます。
情報共有がこのメルマガの主旨ゆえご理解ください。
ご質問いただく際は原則として本名でお送り願います。
質問の送り先
tomtom@kw.netlaputa.ne.jp
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メルマガ【 ウェブアクセシビリティ実例見聞録 】では、
取材させていただけるサイトを募集しています。
アクセシビリティに配慮したサイトであれば、
企業、自治体、ネットショップ等、業種は問いません。
「このサイトがいいんじゃないか」というお知らせだけでも歓迎です。
お気軽にメールでお送りください。
取材・編集・発行/とみおかノブヒロ(グラフィック&ウェブデザイナー)
tomtom@kw.netlaputa.ne.jp
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このメールマガジンは、『まぐまぐ!』を利用して配信しています。
まぐまぐ! http://www.mag2.com/
解除はこちら http://www.mag2.com/m/0000157597.html −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
(富岡ノブヒロ ウェブアクセシビリティ実例見聞録 第7号 より)
(2005年11月25日、東京神田、ちよだプラットフォームスクウェア)
ウェブ アクセシビリティ導入のポイント
プログラム
(05年11月16日 、「論壇」『琉球新報』)
宮古島市誕生にともない、市の観光業界ではキャッチフレーズを「美(か)ぎ島(すま) 宮古島」にするとのことです。沖縄ではあて漢字をつくることがお好きなようです。しかし遠くから見ていると独りよがりの感を免れません。観光にはもてなしの心が何よりだとすると、「美(か)ぎ島(すま)」は観光客に親切な言葉ではありません。美を「か」と読むのは小中学生には有害です。
宮古島市から八重山の石垣島空港に降り立つと、「島ぬ美(かい)しゃ 心(きむ)美(かい)しゃ」のポスターが目を引きます。石垣島が宮古島市にならって、「美(かい)しゃ 八重山」と方言漢字でうたいはじめたら、今度は与那国島が「美(あびゃ)る島」となるのでしょうか?混乱に拍車をかけるだけです。
ウチナー読みは「美ら島」だけでやめてほしいものです。「美ら島」が正しく読まれるには、内外に強力にアピールし続けても50年はかかると思われます。「ちゅらしま」では漢字変換もされず、「びら島」と読まれ続けます。また語源的にも「清」が正解です。「美」より「清」のほうが環境の時代にふさわしいようです。
沖縄では漢字が、多くの読み方をになわされて、ヒーヒーいっています。漢字のわかる台湾、中国、韓国からの外国人も、読み方を聞いたら大いに違和感をもつでしょう。西原の西(にし)は北のことだと知らされたら、なんと思うでしょうか。あて漢字は、誇るべきことではありません。
方言は文化で貴重な財産です。「しまくとぅば」は正しく後世に伝える必要があります。ある機関の広報誌では「ガンジュー(元気)?」といったシリーズがあります。ガンジューは「頑丈」が語源です。沖縄県庁の「沖縄こどもランド」では、《「いらっしゃいませ」の意味の「メンソーレ」は、「参(まえ)り候(そうら)え」が変化した言葉》と何年も前から説明しています。琉球語には候文(そうろうぶん)はありませんでした。メンソーレーはイメンセーン(「いましあり=いらっしゃる」)の「イ」が脱落してメンセーンとなり、メンソーレとなったというのが定説です。沖縄のこどもがメンソーレの語源を誤解したまま、他人に話すようにならないことを願います。
いずれ地名、特に方言名は「チャタン(北谷)」というふうにカナ+漢字表記にしてほしいものです。方言は外国語の一種ですから、カタカナ表記が似合っています。遠い将来には「Chatan(北谷)」とローマ字併記にすれば、沖縄の地名を読めない人は日本から世界からいなくなります。世界標準をめざす沖縄観光のあり方です。
ともあれ観光のためにはもちろん、沖縄の子供たちの将来のためにも漢字の沖縄読みはふやさないでほしいものです。わずかな違いですが、「ちゅ(清)ら島 沖縄」「か(清)ぎすま(島) 宮古島」「かい(美)しゃ 八重山」「「あびゃる島 与那国」と「方言+意味」にすれば、各島の独自性、魅力を訴えることができ、沖縄観光全体のバリューアップにも通じます。(東京国際大学教授)
(2006年1月12日 、「論壇」『琉球新報』)
日本のホームページ、特に観光に重点をおく沖縄県の自治体、公共機関のそれはもっと使いやすくする必要があります。2004年にはホームページを使いやすくするための、また今年の10月には携帯電話を使いやすくするためのJIS規格が制定されました。しかしまだ充分に認識されてはいないようです。
以前東京でホームページを使いやすくするためのシンポジウムが開かれました。テーマのひとつは「沖縄県読谷村を観光する」でした。全盲者や四肢障害者がパソコンや携帯電話を使って読谷村まで行き、観光するまでの体験を報告しました。東京からの鉄道、飛行機などの交通機関の利用はため息が出るほど難儀をきわめ、読谷村観光を充分楽しむまでには至りませんでした。
日本では20人に1人が何らかの意味で障害者といわれています。2015年には4人に1人が65歳以上の高齢者となります。障害者や定年をむかえた団塊の世代は、沖縄観光の予習のために使いやすいホームページを待ち望んでいます。
ITの時代にはよいホームページは、高い観光宣伝費をかけなくても、口づてに地域の露出度を高め、知名度を上げてくれます。何百万人の潜在観光客を掘り起こしてくれます。
日本の自治体のホームページの現状は、道交法ができたばかりで罰則規定がないために、道路計画もなく各自がてんでに家を建てているようなもので、経費、時間、エネルギーの大きな無駄づかいとなっています。(那覇、金武、恩納、北大東などのホームページは使いやすいです。)
ユニバーサルデザインにのっとったホームページの運営は、変化の激しいインターネットの社会では、経費、技術の面で至難のわざです。(東京都ではトップページの更新だけに5人の専属をあてています)。そこで県などが旗を振り、あるいは複数市町村が連携してホームページのひな形をつくり、基本設計を共通にすることが考えられます。
そうすれば、経費を抑えることができ、運営も楽になります。また利用者にとっても、各市町村ホームページのメニュー、観光案内、アクセス地図、サイトマップなどが共通仕様であれば、市町村ごとに操作学習を学ぶ必要がないので、使いやすくありがたいことです。
障害者、高齢者、初心者に使いやすいホームページがふえると、沖縄の障害者にとってもネット学習の機会がふえ、就労の機会も増します。障害者がまじめに働いていると、周囲の人々はよい刺激を受け、労働意欲や規律も向上し、職場や地域が活性化します。また沖縄のイメージアップにもつながります。
観光の目玉は、ものではなく、気くばりです。人は敏感です。健常者も、障害者、高齢者にやさしく、もてなしの心があるところで、ゆったりとすごしたいと願っています。
バリアフリーの気くばりのあるホームページの提供は、観光の振興にもなり、障害者の雇用促進、沖縄のイメージアップにもつながります。沖縄自治体が全国のトップを切るよい機会です。(東京国際大学教授)
(2006年3月12日)
(「編集後記」『東京国際大学論叢』第11号の拙稿を改稿)
バミーは、薄い塩味のラーメンです。日本のラーメンとちがうのは、テーブルの調味料で味を調節することです。ナムプラー(醤油)、砂糖、粉唐辛子、酢などをまぜあわせ、自分用の複雑な味覚をつくりだします。タイのすべての料理も、これらの調味料を足して自分の好み創意を加えます。 日本料理では出されたものはそのままきちっといただくのがふつうです。食べ物に限らず、日本の文化は、風俗習慣も形にあてはめがちなキチキチ文化です。タイでは、料理も人間関係や習慣も、自由裁量の余地があるユッタリ文化です。 日本からタイなどの東南アジアの国におりたつと、なぜかほっとするのは、料理ばかりでなく社会全体に、型におしつけないゆったり雰囲気があるからでしょう。タイ風の生き方とは、バミーと同じく、人生を自分好みに味付けして、じぶんらしくゆったり生きることのようです。
(2007年3月日)

(「編集後記」『東京国際大学論叢』第12号)
編集後記 米誌『Time』は、2006年の「Person of the Year」に「You」を選びました。ネット社会がリアル社会に地殻変動を起こす「総表現者時代」「総評論家時代」の到来を予見した決定です。かつてのマーケット理論は「ニッパチの法則」でした。「2割の商品が売り上げの8割を占める」「航空会社の乗客の2割が売り上げの8割を占める」などです。
今は市場という恐竜を支配するのは、ヘッドではなく、長いしっぽ(ロングテール)となってきています。ロングテールとは、ウェブ2.0の主柱をなす概念で、無数のYouのことです。紙媒体の雑誌はプロの書き手と編集者のコラボによる作業ですが、ウェブ2.0では無数のYou(=ロングテール)が、編集者を通さずにコンテンツをつくっていきます。
ウェブ2.0の例としては、クチコミサイトの「価格.コム」「@コスメ」、Q&Aコミュニティの「はてな」「OKWave」、SNS(ソーシャルネットワークサイト)の「mixi」「GREE」、ブログの「ココログ」「エキサイトブログ」、さらには誰もが書き込めるネット上の百科事典「 ウィキペディア」、「アマゾン」の書評、動画共有サイト「YouTube」があります。
ロングテールは、長年にわたり市場経済を支配してきたニッパチの法則を打ち破るパラダイムであり、無数のYouにとって血湧き肉躍るフロンティアの登場です。(ブッシュはイラクという頭をたたくのに性急なあまり、世界人口の4人に1人を占めるイスラム教徒というロングテールを無視しているようです。)
総表現社会は総評論家時代でもあります。無数のYouによる格付けは検索サイトにも如実に表れます。検索ランキングのトップは、新聞は朝日、県は神奈川、市は横浜、大学は早稲田、会社はシャープです(Google 2007年1月)。
企業、公共機関には、主観的な努力の他に、無数のYouの審判に耐えられる透明性、CSR(企業の社会的責任)、コンプライアンス(法令遵守)が求められてきています。 (桑原政則:論叢編集委員長)
編集後記