沖縄語をキーワードでまなぶ:桑原政則

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沖縄語の世界を、よく知られているキーワードを手がかりに、ひとりで歩いてみます。とくに日本語との比較に力点をおき、沖縄語の法則を解明していきたいとおもいます。

森鴎外は「語源を調べずに、どうやって単語を覚えるのか?」と語源の重要性を指摘しています。日本語との関連や対応の法則がわかれば、沖縄語への興味が増し、理解がいっそう進むことを期待します。

沖縄語をキーワードでまなぶ 目次:桑原政則   琉球語・奄美語のページ   沖縄語辞事典

〇チュラサン(清らさん)は、「きれい」(#1,2004年11月11日)

NHKドラマ「ちゅらさん」とは、きれい、という意味です。Miss チュラではありません。漢字では「清らさん」となります。

*ドラマちゅらさん


チュラの漢字は、清ら、です。与那国町では、「清(ちゅ)ら島 どなん」と正しく記しています。

*ドナンとは 与那国 のことです。
正確には ドゥナンです。


1500年代成立の沖縄の万葉集『おもろさうし』では、    清(きよ)ら、となっています。


奄美では、今でも、清(きょ)ら、です。
キョラムンとは、美人のことです。

形容詞

沖縄語では形容詞はサンでおわります。

’アマサン 甘い
マーサン おいしい
チュラサン きれい

*マーサンは、旨(うま)い と同根です。


発音 声門閉鎖音 「’」

「’」は、母音の前でのどを一瞬閉めるようにしてだす音です。声門閉鎖音(glottal stop)といいます。タイ語などの東南アジア語にもあります。


発音  ch← k

ch← k
’イチャ icha< ika いか
チム chimu< kimo 肝(きも)
チュー chuu< kyoo 今日
チュラサン churasan< kiyoi 清い(きれい)

*宜野座村名物「イチャ ガリガリ」→
宜野座村にあるIBMのコールセンター  (#057,2003年12月)

*チム、ドンドンとは、胸、どきどき、のことです。



『おもろさうし』7巻379

天(テ)にとよむ、大ぬし
<天にとどろく大主は>

あけもとろの、花の、さいわたり、
<日の出の花(太陽)が咲き誇っている(のと同じだ)>

あれよ、みれよ、きよらやよ
<あれを見よ。うつくしいことよ>

『おもろさうし』は、琉球王朝が おもろ ととよばれる神歌をあつめて編んだもので、呪術(じゅじゅつ)性を保っているのが特長です。『古事記』(712年)、『日本書紀』(720年)より成立が10世紀おくれています。10世紀のおくれは、大和朝廷と琉球王朝の成立の時期と対応しています。   

*おもろさうし                                                                                            
【語句】

’アマサン
<甘さん

チム
<肝

チム、ドンドン

チュラサン
<清らさん

チュー
<今日

マーサン
<旨さん


〇シーサーは、獅子ではなくて「獅子像」のこと (#2,2004年11月18日)

シーサーは獅子ではなく、「獅子の像」のことです。
獅子はシーシといいます。

シーシのしっぽに aa をつけてシーサーとなりました。aaをつけると、人や物をあらわすようになります。

シーサーとは、獅子をかたどった物=獅子像、のことです。

*〇シーサーは沖縄顔  (#0009, 2002年12月)


名詞  語尾の長音「ー」は「もの」

’アミリカー アメリカ人 <アミリカ+人
シーサー シーサー <獅子+物
チュラー 美人 <きれい+人
ナイチャー 内地の人 <内地+人

*アミリカー

アミリカはアメリカのことで、アミリカーとなるとアメリカ人になります。人におおらかな沖縄では外人ということばはつかいません。


*チュラ カーギー

チュラー は、チュラ カーギーともいいます。カーギーは、影 のことです。漢字で書けば 清影 となります。


*ナイチャー

ナイチ(内地)は、沖縄以外の日本をさします。ナイチャー は、日本本土の人のことで、<あっちの人>といった感じです。

日本人のことをヤマトゥンチュ ともいいます。ヤマトゥンチュは、歴史を背負った重いいい方です。韓国人が日本を「イルボン」という時の感覚にあたります。


形容詞

カシマサン うるさい <かしましい
ダルサン だるい  
ヤッサン 安い  
【語句】

’アミリカー

カシマサン
<姦さん

シーサー
<獅子像

ダルサン

チュラー

チュラ カーギー

ナイチャー
<内地+…

ヤッサン
<安っさん

ヤマトゥンチュ
<大和人


〇’イチャリバ チョーデーとは、合縁奇縁のこと (#3,2004年11月25日)

ウチナーンチュ(沖縄人)は、合縁奇縁( a match made in heaven )を大事にします。


「’イチャリバ チョーデー 」は、行き会えば、兄弟みたいなものだ、という出会いと人のつながりを大切にするウチナー(沖縄)ならではの言葉です。チョーデー とは、兄弟のことです。


ウチナーンチュ(沖縄人)は、初めての人にも「どうして、そこまで」と思うぐらい親切にすることがあります。

東南アジアの人と同じく開放的な親しみやすいウチナーンチュ(沖縄人)の心意気をあらわしています。

ウチナーンチュ(沖縄人)はおとなしい人が多いので、こちらから積極的に話しかけます。

*2004年10月6日、奄美の名瀬を朝6時に出航したクイーン コーラル号は、徳之島、沖永良部、与論を経て、本部(もとぶ)港に午後5時半につきました。私はタクシーで名護まで行きました。名護のそば屋さんで話しかけた人が、名護から1時間以上ある読谷までおくってくれました。

*本部港地図

*沖縄本島地図

動詞 ch ← k

ch k
’イチャユン 行き会う
’イチュン 'ichun 行く iku
カチュン kachun 書く kaku
ナチュン nachun 泣く naku


名詞  語尾の長音「ー」は 「人」

  語源 意味
ガチマヤー 餓鬼+猫 食いしん坊
シッタカー   知ったかぶりをする人
ディキヤー デキユン+ー  成績のよい人

*シユン 知る

*デキユン  できる

*ガチマヤーは、ガツガツ食べる猫が元の意味です。マヤー は中国語 mao に由来します。

【語句】

’イチャユン
《行き会う》

’イチュン
《行く》

ウチナーンチュ
《沖縄人》

ガチマヤー
《餓鬼+猫》

カチュン
《書く》

シッタカー

シユン
《知る》

チョーデー
《兄弟》

ディキヤー

デキユン
《出来る》

ナチュン
《泣く》

〇テーゲーは次代の合い言葉(#4,2004年12月2日)

マネーよりタイムの方が大切になり、ゆとりの時代、スローライフの時代、オキナワタイムの時代となりました。

ヤマトのキチキチ文化に対して、ウチナー(沖縄)はユッタリ文化が特長です。ウチナー(沖縄)のユッタリ文化をあらわすキーワードがテーゲーです。


テーゲーイズムにあっては、人をギリギリまで追い込みません。人や物、時間にカリカリ、キリキリしません。他人の生き方をおおらかに余裕をもって認めます。

「いい加減」といったビジネス面でのマイナスの意味はさておき、このストレス社会にあって、テーゲーイズムはさらに輝きを増してきています。ウチナー(沖縄)が精神世界で一周遅れのトップランナーになっているのは、この大らかなテーゲー精神によるところが大です。


コノコト、テーゲー デ シムサ」と言った場合は、相手のことをおもんばかって、「このことは、(大変だから)適当でいいよ」の意味あいがもともとだったのでしょう。

* 〇なぜ、沖縄にイヤシがあるの? :柳田国男の神概念 (#44, 2004年6月9日)

*fuzzy(ファジー)とは、あいまいなことです。黒か白か、とわりきったものではなく、grayが多分にあることです。時代のコンピュータは、fuzzy computerになるはずです。


発音 ee ← ai : teegee ← taigai

  ee← ai  
’エージ   'eeji< aizu 合図
チョーデー  choodee< kyoodai 兄弟 
テーゲー  teegee< taigai 大概 
デージ  deeji< daiji 大事
ニフェー デービル ありがとうございます。
ヤンメー   yanmee< yamai 病  

*ニフェー デービル  ありがとうございます

ニフェーは、「御拝(mihai)」 、デービルは、「ございます」。
「(あなた様を)拝むんでございます」→「ありがとうございます」となったのでしょう。


*「モー」は「野」のこと:モーアシビ、マンザモー

n ← m : nifee ← mihai

ウチナーグチ(沖縄語)には、nifee ← mihai  にみられるように、n ← m の対応もあります。

モーアシビ mooashibi は、「野遊び」のことです。夜、若い男女が原野に集まって、歌や踊りで遊ぶことをいいました。自由な男女交際を許された少ない機会でした。平安時代の日本の歌垣(うたがき)のようなものでした。

恩納村のマンザモーは、「万座野」のことで、万人が座れるほどの野原を意味します。

*マンザモー 【画像】
【語句】

’ウチナー
<沖縄

’エージ
<合図


テーゲー
<大概

デージ
<大事

ニフェー デービル
<御拝 …

モーアシビ
<野遊び

ヤンメー
<病


〇’ウチナーには「内」の意味はない (#5,2004年12月10日)

’ウチナーとは、「沖縄」のことです。 

又吉栄喜(またよし えいき)が1996年に『豚の報い』で芥川賞を受賞したとき、石原慎太郎がいいました。

    「ウチナーンチュとかソトナーンチュとかいう区別はもういい」

’ウチナーンチュを「内のひと」と誤解していたようです。 沖縄文学は沖縄社会、沖縄史、つまり内にこだわります。沖縄と無関係の舞台をえがくようになるには、まだまだ時間が必要なようです。

*又吉栄喜 Google

*「沖縄」の語源

伊波普猷(いは ふゆう)は、「沖でナ(魚)がとれるハ(場所)」が沖縄の語源としました。 サカナは、酒のつまみのナ(うお)のことです。





*左を「千葉良さん、がんばって」と誤解している人がいました。

「おきなわ」が’ウチナーになるように、「気張れよ」もチバリヨーとなります。kiがchiになる例です。

http://www.kotobuki-nn.com
/cd.htm

u ← o  :'uchinaa ← okinawa

u o 備考
’ウークイ  'uukui 御送り  ookuri 旧暦7月15日の精霊送り
’ウガンジュ  'ugannju 拝み所  
ogamijo
 
’ウタキ  'utaki 御嶽  otake 集落の守護神を守る聖域
’ウチナー  'uchinaa 沖縄  okinawa  
’ウブン  'ubun 御物  omono 食事
’ウワイスーコー
'uwaisuukoo
終わり焼香
owarishoukoo
最後の33年忌
’ウンケー  'unkee お迎え  omukae 旧暦7月13日の精霊迎え

*上をみると、沖縄には日本の古いものを残しており、世間は旧暦で動いていることがわかります。

*ウワイスーコー  →三十三回忌とチビチリガマ

*沖縄の年中行事 RIK

「ウチナー…」いろいろ:’ウチナー ヤマトゥグチ

ウチナーグチとは、沖縄口、つまり「沖縄のことば」のことです。 
ウチナーンチュは、「沖縄の人」のことです。ンが「の」、チュが「ひと」です。 ウチナーンチュは、130万人、日本の1%を占めます。

  語源 備考
’ウチナーグチ 沖縄口 沖縄語
’ウチナージラー 沖縄面 沖縄顔
’ウチナー
ヤマトゥグチ
沖縄大和口 沖縄語まじりの日本語: ワジワジする、  海を歩く、東京へ来る、しましょうね。なんくるないさ。…
’ウチナーンチュ 沖縄の人  沖縄人


* この稿は「沖縄」がなぜウチナー?  (#0003, 2002年12月) を全面改稿したものです。
【語句】

’ウークイ
<御送り

’ウタキ
<御嶽

’ウチナーグチ
<沖縄口

’ウチナー ヤマトゥグチ
<沖縄大和口

’ウチナーンチュ
<沖縄人

’ウブン
<御物

’ウワイスーコー
<終わり焼香

’ウンケー
<お迎え

チバリヨー
<気張れよ



〇「シマンチュ」の「シマ(島)…」 と「…チュ(人)」 いろいろ  (#6,2004年12月16日)
▼「シマ(島)…」いろいろ:

シマとは、アイランドではなく、自分の出身地、集落のことです。福島、広島、徳島、鹿児島のシマも、海に囲まれた島ではなく、縄張りのことでしょう。沖縄語をまなぶと日本語の古い意味がわかります。

  語源 意味
シマー 島+人 離島出身者〈卑称〉
シマウタ 島唄 琉球民謡
シマ クトゥバ 島+言葉 沖縄、集落の言葉
シマ ザキ 島酒 泡盛。居酒屋では「シマ」で通じる
シマ チャビ 島+@@ 離島苦。離島故の苦しみ。伊波普猷(いは ふゆう)の造語
シマ ドーフ  島+豆腐 固めの豆腐で、チャンプルー(野菜と豆腐の炒め物)には欠かせない。
シマ ナイチャー 島+内地の人 沖縄にとけこんだヤマトゥンチュ。でもいつになってもウチナーンチュにはなれない。
シマ マース 島+真塩 沖縄産天然塩
シマ ラッキョー   島らっきょう。塩もみしてかつお節をかけて食べる。泡盛のつまみはこれと豆腐よう
シマンチュ 島+の+人 地元の人

 
▼「…チュ」いろいろ:’ウミンチュ、カミンチュ

語源 意味
’ウチナーンチュ ’ウチナー+の+人 沖縄人
’ウマンチュ ’ウマ(御万)+の+人 庶民。反権力的な意味合いがある。
’ウミンチュ 海+の+人 漁師
カミンチュ 神+の+人 神に仕える女性。ノロ
シマンチュ 島+の+人
ヤマトゥンチュ ヤマトゥ+の+人

*ウチナーンチュ、ヤマトゥンチュの長音に注意

ナイチャーズ、垂水健吾『沖縄いろいろ事典』(新潮社、1992年)は、写真入りで沖縄のいろいろをおもしろく紹介していて、オススメです。ただ沖縄語の表記が不統一です。
  • ’ウチナーンチュはのばします。  <ウチナー
  • ヤマトゥンチュはのばしません。  <ヤマトゥ

*’ウミンチュ

特に糸満漁夫をさすことがあります。糸満の潜水漁夫が沖縄漁業の歴史を作りました。糸満漁夫は、他の島々やばかりでなく、遠く海外をも含むよそへ移住しました。

ファーストネームに音読みが多い:具志堅 用高  (#0006,  2002年12月)

【語句】

’ウマンチュ
<御万人

’ウミンチュ
<海の人

カミンチュ
<神の人


シマー
<島+者


シマ ウタ
<島唄


シマ クトゥバ
<島+言葉

シマ ザキ
<島酒


シマ チャビ
<島痛み


シマ ドーフ
<島豆腐

シマ マース
<沖縄産天然塩

シマ ラッキョー
<島らっきょう


シマンチュ
<島の人


チャンプルー
<炒腐児

ノロ
<呪(のろ)い


〇シマンチュのチュは、「ひと」の変化したもの:i ← ri (#7,2004年12月24日)
▼語頭のfの脱落:チュイ(一人)、タイ(二人)
  1. 古い日本語では「ひと」は、fitoでした。
  2. u ← o の法則で、fitu となりました。@@例
  3. ch ← t の法則で、fichu となりました。
    シチャ  shicha 下  shita
  4. fichu の fi が脱落して、chu  「人」となりました。
特異な変化です。

  変化 意味
チュ chu< fichu< fitu <fito ひと
     
チュイ chui< fichui< fitori ひとり
タイ tai< futai<  futari ふたり
     
ティーチ tiichi<  fitotsu ひとつ
ターチ taachi<  futaachi ふたつ

*チュは、本来は「ッチュ」 cchu です。

i ← ri

r の脱落現象が見られます。

’アイ 'ai 蟻 ari
ウークイ uukui 送り okuri
ウゥドゥイwudui 踊り(をどり) odori
’ウワイスーコー uwaisuukoo 終わり焼香 owarishoukou
クスイ kusui 薬 kusuri
タイ tai ふたり futari
チュイ chui ひとり hitori
トゥイ tui 鳥 tori
ヌチグスイ nuchigusui 命薬。長寿の薬。おいしいごちそう
ハナウイ hanaui 花織 hanaori

*ウゥドゥイ  

ウゥドゥイ は、「をどり」からきました。「おどり」からではありません。古い日本語では、「わ行」は「わ wa、ゐ wi、う wu、ゑ we、を wo」でした。

沖縄語をまなぶと古い日本語がわかります。

▼沖縄と琉球

沖縄には「沖縄」、「琉球」を冠した大きな機関があります。

沖縄 琉球
沖縄タイムス 琉球新報
沖縄大学 琉球大学
沖縄銀行 琉球銀行

▼台湾、中国にとっての琉球

2000年6月9日、わびしいさびしい那覇空港国際線から台湾へ飛びました。出発地は、機中で見ると沖縄ではなく「琉球」となっていました。

台湾は、世界でただ一国いまだに1972年の沖縄の日本復帰を認めていません
。台湾は、日本が薩摩の侵略や明治の廃藩置県により琉球国を略取したとみなしています。台湾にとっても、中国にとっても、沖縄は琉球です。

(また、沖縄人の中には、1972年の日本復帰は琉球国復帰への一大ステップととらえている人もいます。)

* 琉球群島 【地図】台湾日本綜合研究所

*那覇市には「中琉文化経済協会」もあります。一種の領事館です。

*台湾在住の沖縄人は優遇されてます。【メモ:留学生の待遇を調査】

*1988年の蒋経国の葬儀の時、沖縄代表は親戚扱いの特別席を提供され厚遇を受けています。日本側代表ははるか下座でした。

*自衛隊を誘致したい与那国島 :西半分は台湾の防空識別圏 (#0014, 2002年12月)

▼うるま、レキオ

「うるま」は「琉球」の雅語です。

*2005年に「うるま市」が誕生します。

レキオLequioは、ポルトガル語で「琉球」のことです。
【語句】

’アイ
<蟻

ウゥドゥイ
<踊り

’ウルマ

クスイ
<薬

シチャ
<下

ターチ
<ふたつ

タイ
<ふたり

チュ
<ひと

チュイ
<ひとり

ティーチ
<ひとつ

トゥイ
<鳥

ヌチグスイ
<命薬

ハナウイ
<花織

レキオ
<琉球

〇メンソーレーは、「いらっしゃい」の意味:語頭のiの消失 (#8,2004年12月30日)
▼ 語頭のiの消失  

沖縄語では、語頭のiを消失する場合があります。

  変化 意味
クチ kuchi< ikotsu 遺骨
ナキジン nakijin< makijin< imakijin 今帰仁
ヌチ nuchi < inochi
メンソーレ mensoore < imensoore いらっしゃい


▼今帰仁(イマキジン)は、語頭iの消失と「n< m」の変化で、「ナキジン」に

ナキジンは、2種の法則によりイマキジンからナキジンになりました。
  • イマキジンの頭がなくなりマキジンに
  • マキジンのマがナに変化し、ナキジンに
*今帰仁村(ナキジンソン)には、世界遺産の今帰仁城跡があります。沖縄では村は、すべて「ソン」です。


▼ヌチ ドゥ タカラ

「命こそ宝」。沖縄の反戦平和運動の標語。

*ヌチ ドゥ タカラの家   :阿波根 昌鴻(あはごん しょうこう) 乞食行進で米軍の非道を訴える
 

▼「メンソーレー」の語源のあやまった解釈

沖縄県庁の「沖縄こどもランド」には、まちがった説明があります。「メンソーレー」は、「’イメンソーレー」の語頭のiが脱落したものです。「ごめん候え」とは無関係です。

*〇メンソーレって、「ごめん候え」からきたの? :(#069,2004年2月)

▼新語
クチ  ナキジン  ヌチ  ヌチ ドゥ タカラ  メンソーレ  


〇アリンクリン(あれもこれも):畳語 (#9,2005年2月3日)

沖縄語には、畳語(じょうご)がおおくあります。畳語とは、「いらいら」のように同一の語句を重ねた同重ねた語のことです。(タイ語にも畳語が多くあります。)

'アワティハーティ あたふた
'アリンクリン あれもこれも
ヌルントゥルン とろとろまどろむ様
ネーネー 姉さん
ピリンパラン ぺちゃくちゃ
ワジワジ いらいら

*ネーネーズ 1990年代沖縄ミュージックブームの火付け 役となったグループ



〇チュー ウゥガナビラ(こんにちは):あいさつ用語 (#10,2005年2月10日)

「チュー ウゥガナビラ」は、「今日 拝みはべらむ」からきて、「おはようございます。こんにちは。こんばんは」をあらわす便利なことばです。(タイ語のサワッディーと同様です。)

ウゥは[wu]の音です。wa, wi, wuのwuです。唇が平たくなります。

チュー  ウゥガナビラ こんにちは <今日  拝みはべら
ハイサイ やあ (男性が親しい人に)  
ハイタイ やあ (女性が親しい人に)  
     
ニフェー デービル ありがとうございます <御拝 です
メンソーレ いらっしゃいませ <いらっしゃい
     
グブリー サビラ 失礼します(人前を通るとき) <ご無礼 します
グブリー サビタン 失礼しました  
     
クワッチー サビラ ごちそうになります <馳走  になります
クワッチー サビタン ごちそうさまでした  

▼グスーヨ、  チュー  ウゥガナビラ(みなさん こんにちは)

ニュースのはじめには、「グスーヨ  チュー  ウゥガナビラ」などとあいさつします。グスーヨとは、「みなさん」のことです。「御主」に由来します。

▼ハイサイとハイタイ

ハイは親しい人に「やあ」とよびかけることばです。少し丁寧に男性は「ハイサイ」、女性は「ハイタイ」といいます。(タイ語でも、男性は「サワッディー クラップ」、女性は「サワッディー カ」と使い分けます。)

▼ニフェー デービルは、「拝んで感謝します」の意味

御拝 (みはい)です。  →  拝んで感謝します。 →  ありがとうございます。

▼メンソーレ

*〇メンソーレって、「ごめん候え」からきたの? :(#069,2004年2月)


〇ゴーヤーは「苦いもの」という意味 (#11,2005年2月17日)

ゴーヤーは、ナーベーラーとならぶ代表的な夏野菜です。ビタミンCに富み、夏バテ防止に効果があります。

*ゴーヤー 【画像】Uruma


ゴーヤーは、「苦(にが)いもの」という意味です。沖縄語では語頭が脱落することがあります。

語頭の脱落 
現在の形 元の形 意味
メンソーレ イメンソーレ いらっしゃい
ヌチ イヌチ
ナキジン イマキジン 今帰仁
 
*今帰仁村の位置


ゴーヤーは、  nigai のniが脱落してgaiになりました。

さらに苦い物という意味でgai+aa(物)となり、gooyaaとなりました。

ウチナーグチ(沖縄語)では、長音は「もの」をあらわすことがあります。シーサーは獅子ではなくて、獅子の形をしたもの、つまり「獅子像」のことです。

ナーベーラーは、鍋を洗う物、つまりヘチマのことです。未熟のものを食用にします。

*ナーベーラー 【画像】Uruma


ヤマトンチュはゴーヤと長音を省略しがちですが、ゴーヤーが正しいです。

*「ゴーヤ」の例→永谷園

*
宮古島、西表島ではゴーヤといいます。

*ゴーヤーなんでも辞典 ゴーヤー天国


〇「大北(’ウフニシ)」は読谷の旧名 (#12,2005年2月24日)

読谷は大北(’ウフニシ)とよばれていました。中山(チューザン)の最北の地にあったからです。山とはクニのことです。


’ウフはヤマト古語の「おほし(大し、多し)」の「おほ」にあたります。

’ウフ アメとは大雨のことです。


大東島は、はるか東(’アガリ)にあるので’ウフ アガリジマとよばれます。

大里は、’ウフ ジャトゥとよばれます。
*大里村

人名の大城さんも、ウチナーグチでは’ウフ グシクとなります。



首里の守礼の門から東方500メートルの所に大角座(’ウフ カクジャ)という交差点があります。

あごのことを方言でカクジといいます。カクジャーで「あごのようなもの」となります。

大角座(’ウフ カクジャ)では5本の道路が交差し、角張った動物のあごの形に似ていることから名付けられたと思われます。



中山の最北 読谷(ヨミタン)


北山は今の山原(ヤンバル)にあたります。ヤンバルというと、かなり北のように感じますが、実は中部以北、恩納村、金武町(キンチョウ)からすでにヤンバルが始まっています。

北山(ホクザン)は、かつて山北(サンホク)とよばれました。複数の支配者が入り乱れていたので、統一したクニではなかったので単に中という意味で山北(サンホク)といったのでしょう。

同様に、南山(ナンザン)も、かつては山南(サンナン)とよばれました。

北山は今の国頭(クニガミ)、中山は中頭(ナカガミ)、南山は島尻にあたります。

後に中山(チューザン)は、琉球全体の、中山王は琉球王の別称となりました。


〇沖縄に残る古い和語:東風(こち)   (#13,2005年3月3日)

901年、九州に左遷された菅原道真(すがわらのみちざね)は、次の有名な歌をよみました。

*天神様、学問の神様  菅原道真 【画像】

    <東風(こち)ふかば、
      匂いおこせよ梅の花、
    主(あるじ)なしとて春な、わすれそ>



意味は次の通りです。

京の都の梅の花よ、東の風が吹いて春が来たら、その香りを遠く離れた九州の私の元まで届けておくれ。
主人が居なくなったからといって、春を忘れてはいけません。(そして花を咲かさなくなってはいけませんよ。)


この東風(こち)という古語は、沖縄に残っています。

沖縄本島の南部にある東風平(コチンダ)がそれです。東風が吹く地域という意味でしょう。

沖縄本島南部の地図


沖縄語をまなぶことは、日本語の古い姿を学ぶことでもあります。

沖縄語 大和古語 意味
’アーケージュ あきづ トンボ
コチ こち 東風
シシ しし
シマ しま 特定の限られた地域
ストゥミティ つとめて 早朝
チブル つぶり
チラ つら ほお、面
トゥジ とじ 刀自、主婦
ネー なゐ 地震
ワラビ わらべ 子供、童


〇石垣島の川平は、なぜカビラ?  (#14,2005年3月10日)

石垣島の川平(カビラ)湾は、日本百景にも選ばれている風光明媚なスポットです。海の色が日光のぐあいによって次々と色を変えます。

首里城、美(ちゅ)ら海水族館とならぶ沖縄の観光スポットのトップスリーです。


両言語には、下のような対応があります。

沖縄語 日本語
’aa awa
 
沖縄語 日本語  
アームイ  'aamui  awamori 泡盛
カー kaa kawa 井戸。<川
カーとは、川ではなくて、井戸のことです。
カビラ kabira  kawabira 川平
石垣島の川平(カビラ)湾
チラガー chiragaa tsuragawa 面皮
豚の顔の皮のことで、コラーゲンたっぷりで、コリコリした食感です。
マーユン maayun mawaru 回る
ミミガー mimigaa   mimi-kawa 耳皮
ミミガーは、豚の耳をゆでて細切りにしてピーナッツ酢、きゅうり、ワカメなどどであえたものです。



石垣島の川平(カビラ)湾  2002年12月



川平湾では、海水が澄んでいて、外洋の影響が少ないので湾内で黒(くろ)蝶貝の養殖が盛んです。1914年御木本幸吉が養殖を計画したのがはじまりです。 黒真珠のアクセサリーがいいギフトになります。

グラスボートで海底のサンゴを観察することができます。

八重山上布はここの海水に浸してから織ります。 → 八重山上布 Wonder沖縄


*石垣島 Wonder沖縄  

*川平湾 美ら島物語

*石垣島の概要石垣市観光協会


〇豚用語 (#15,2005年3月24日)

沖縄では豚は頭の皮からつま先まで食べます。
食べないのは、鳴き声だけです。全国平均の3倍食べます。「肉」といえば豚肉のことです。

沖縄は中国、台湾、東南アジアと同じく豚肉文化圏です。  

'アシティビチ 豚足。「足ティビチ」は、じっくり煮こんで脂肪分を取り除き、ゼラチン化した料理。長寿料理のひとつ。
'イナモドゥチ 豚肉入りみそ汁。<猪もどき。
三枚肉  
ソーキそば じっくり煮込んだ豚あばら肉を載せた沖縄そば
チラガー <面皮。
ティビチ 豚足の煮込み。=アシティビチ
ナカミ 豚の胃腸。<中身。
ナカミ汁 豚もつ汁
ミミガー <耳皮
ラフテー 豚三枚肉の角煮。<羅火腿(中国語)
’ワー

追:フルとは、「豚舎兼用便所」のことで、20世紀はじめまでありました。「風呂のように囲われた建物」が語源です。北中城の中村家住宅に残っています。


〇動詞の活用 #1:ビーン、ビタン、ビラ (#16,2005年4月8日)


  持つ 待つ 行く
  ムチュン マチュン イチュン
(ます) ムチャビーン マチャビーン イチャビーン
(ました) ムチャビタン マチャビタン イチャビタン
(ましょう) ムチャビラ マチャビラ イチャビラ

*イチャビラは、「わたしは行きます」ということで、目上への辞去の挨拶「失礼します」にもなります。沖縄人が日本語で「行きましょうね」といった時、「わたしはお先に失礼します」を意味するのは、ここに由来します。

*沖縄語辞事典


〇中国借用語 (#17,2005年4月15日)

ガチマヤー 食いしん坊 <餓鬼+猫。猫は中国語でマオ
サンピン 香片。ジャスミンのこと。サンピンというと、エキゾティシズムに富む。
セーファン <菜飯
チャンプルー <炒腐児
ターリー 父。 <大人
チンビン <巻餅
ラフテー <羅火腿



*沖縄語辞事典



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〇 (#,2005年月日)


*沖縄語辞事典



〇 (#,2005年月日)


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